御会式 日蓮聖人御命日の報恩法要

 努力というのは、多かれ少なかれ誰でもしますが、しかし、努力が、執念(深く思い、決して諦めたり、忘れたりしない。)と呼べるものにまで高める。・・・ということは、至難のわざ《我れ日本の柱とならむ、我れ日本の眼目がんもくとならむ、我れ日本の大船たいせんとならむ、等とちかいしがん、やぶるべからずー開目鈔-》宗祖日蓮大聖人の執念ともよべる誓願である。
 1人の人間として、大聖人を想う時、「人生をひらく・道を拓く」・・・典型的人物像が、そこからは浮かび上がってくる。
現代に、こうゆう逸話が残っている。・・・その青年は、地方の大学を卒業し、京都のある会社に就職した。就職難の時代・・・その喜びは実に大きかった。・・・しかし、その喜びが色あせるのに、さして時間はかからなかった。何故ならば、その会社は赤字続き、給料が遅配されることも度々たびたび。・・・これに対して労働組合は頻繁にストを繰り返す。その青年は、会社にウンザリ、同期の友人と相談し、自衛隊に入ることを決定し、実家の長兄へ戸籍抄本を送ってくれるように頼む。・・・すると、長兄よりの手紙働くところもなく、おまえを雇ってくれた会社に何の恩返しもせずに辞めるとは何事か!・・・長兄の叱責がこたえた彼は、生活も考え方も一変させる。よし!この会社という場こそ最高の場所と思おう。・・・彼は、その会社に布団から炊事道具まで持ち込み、寝る間も惜しんで、仕事に没頭・努力をした、それこそ努力から執念と呼べるものに変えるんです。・・・こうして開発された製品に、ある大手メーカーが着目、大量の注問が舞い込むようになる。しかし、そんな時期、労働組合は賃上げを要求して全面ストに突入。その青年の行為は、全組合員から非難・罵倒の連続・・・しかし、その青年彼らに一歩も譲らない私は会社回し者でもなければ、みなさんの敵でもない!よく考えてみて下さいヨ・・・会社で唯一黒字を出しているのは、私の執念で作り上げた製品だけじゃないですか・・・この生産をやめたら、それこそ、みなさんの給料も払えなくなるんじゃないですか?その青年の態度に組合幹部は、心を動かして、スト中も仕事の続行を黙認。・・・本年8月30日、他界された京セラ創業者平成の経営の神様稲盛和夫氏、25歳の頃の話である。
 努力が執念に変った時、事は大成する。・・・私達の法華経受持じゅじの姿も是非とも、こうでなくてはならない。稲盛氏言く成功者と不成功者の差は紙一重。・・・その紙一重とは何か?・・・不成功者には、ネバリがないんです。 松下幸之助氏も、こうゆう事を言っている失敗はありますヨ。でも、成功するま続けたら、失敗はない!・・・成功とは成功するまで、続けるこです。」・・・
継続は、力である。・・・受持することです。宗祖日蓮大聖人言く「受けるはやすく、たもつは難し。さるあいだ成仏は持つにあり」・・・人生・道を拓く鍵でしょう。本年第741遠忌おんき御会式おえしきには宗祖を偲び、その御姿に学ぶ原動力は、正に《受持》に徹する心掛けです。・・・心構えというのは、どんなに磨いても毎日ゼロになる能力である。毎朝、歯を磨くように心構えも毎朝磨き直さねばならない・・・朝の勤行ごんぎょうの大切さです。稲盛氏曰く新しい計画の成功は、只 不屈不撓ふとうふくつ>の一心にあり。さらば、ひたむきにおも。気高く、強く、一筋に。」巨星堕つる・・・その悲しみは、ひとしお・・・偉大な道を拓いた、その想いに、心耳を澄ませたい。
 お互い様に《発憤力》こそ,仏道を拓く源であることを肝に銘じたい。